高知新聞 2017.08.03 08:45
https://www.kochinews.co.jp/article/116270/
 太平洋戦争中、パプアニューギニア山中イオラ地区の戦場で「日本兵50人以上を埋葬した」とのオーストラリア軍記録を基に、日本の厚生労働省が遺骨捜索に取り組んでいる。この戦闘に参加したのは高知市で編成された歩兵第144連隊で、犠牲者128人のうち105人が高知県出身。遺骨が発見されれば、DNA鑑定によって身元判明につながる可能性がある。
 

 厚労省は2015年、海外戦死者の遺骨収容事業の一環として、オーストラリア軍の資料を調査。オーストラリア軍が1942年10月のイオラの戦闘後、「優に50人を超える日本兵(の遺体)を埋めた」との記述を確認した。
 
 イオラでオーストラリア軍と交戦したのは、日本陸軍「南海支隊」の基幹だった高知の歩兵第144連隊。戦死者名簿によると、一帯の戦死者の出身地は高知105人、愛媛21人、その他2人。
 
 2016年2月、厚労省職員が現地で試掘。遺骨は発見できなかったが、周辺住民が過去に近くで収容したという日本兵2体の遺骨を受け取った。
 
 厚労省は2017年秋、2回目の現地調査を行う予定。ただ、現場は山岳地帯のジャングルで、捜索は引き続き難航が予想される。
 
 オーストラリア側は一帯での遺骨収容に実績があり、民間の戦史調査やトレッキングツアーも盛んだ。
 
 高知県の遺族らでつくる南海支隊戦友遺族会の辻本喜彦世話役(69)=和歌山県高野町=は「埋葬地の捜索には、オーストラリア、パプア両国との情報共有が重要」と指摘。「遺族の高齢化が進む中、早期の遺骨収容と身元特定をお願いしたい」と要望している。
 
 遺骨とともに遺留品が出土して身元が推定できる場合などは、遺族が希望すればDNAを鑑定。血縁関係が判明すれば、遺族の元に遺骨が届けられる。
 
 イオラでは2010年に出土した遺骨が、遺留品の印鑑とDNA鑑定によって南国市出身の歩兵第144連隊兵士と判明。3年後に同市内の遺族に届けられた事例がある。
 

南海支隊の戦い
 太平洋戦争中の1942年、オーストラリア領だった東部ニューギニア北岸に日本陸軍「南海支隊」が上陸。オーエンスタンレー山脈に到達した後、撤退に転じた。イオラでは南海支隊の基幹だった高知の歩兵第144連隊がオーストラリア軍の追撃を妨害した後、陣地を放棄して後退した。南海支隊はその後、激しい戦闘と飢餓でほぼ壊滅。南海支隊は、歩兵第144連隊だけでも3300人以上の死者を出した。